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■桜さば寿司の開発・生産・販売 十一寿司
桜さば寿司開発物語

原料選定と試食

2001年3月、毎月1回実家に帰り、寿司店の建て直しを始めてから1年が経ち、何となく自分なりに飲食店経営の面白みが分かりだした時、一つの結論を出した。

1999年夏、彼女にプロポーズをした、メキシコのカンクンというリゾート地のイタリアンレストランでのことだった。その時のプロポーズの言葉は「結婚して欲しい。但し、自分には3つの危険要因があるが良いですか?」「1つは会社を辞めるかもしれない、2つめは実家に帰るかもしれない、3つめは父と同じで早死にするかもしれない」という条件付プロポーズだった。

彼女は「3つめの早死には嫌だけど、OKです」と私の申し出を受け入れてくれた。 ただ、彼女としては、実家に帰り家業を継ぐのは20年位先の話であって、結婚から2年後の子供がまだ小さい時にそのような事態になるとは考えてもみなかったようである。

3月に課長に、会社を辞めて実家の家業を継ぐということを申し出た。自分でも葛藤があった。その時扱っていた商権である「エシレバター」やビール原料「ホップ」に関しては愛着があり、まだまだやりたい事はあった。しかし、1年間寿司店の建て直しをしながら、少しずつ結果が出てきている状況で、自分なりに責任がどちらが重いかを考えた。「片岡物産は自分が居なくても順調にやっていけるが、寿司店は自分が入らないと悪くなる一方だ」という結論だった。

2001年7月1日、自分としての3つ目の会社である「有限会社といち」(十一寿司)に就職した。肩書きは専務取締役である。責任も大きい。

今まで月に1回のミーティングでしか物事が進まなかったが、これからは皆と密に話し合いスピーディーに進めることができる。さば寿司開発の本格的なスタートである。

さば寿司の原材料は、さば、お米、昆布である。

まず、さばの選定から始まった。さばの仕入れに関しては、料理長の里内さんが既に研究をしており、紀州、八戸、房総沖、鳥取境港、焼津港のさばを既に仕入れて、品質を見ており、年間を通じて安定的に同じ品質のさばの仕入れが可能なのは、静岡県焼津港の塩さばに限るとの事であった。

早速1ケース取り寄せてみた。昔ながらの木箱に、丸のままのさばを内臓をとって、塩づけにしてあるものであった。この木箱は里内さんが小さいころから変わっていないらしい。発砲スチロールの方が安価で良いような気がするが、昔ながらの物を守っている焼津のさばに魅力を感じた。

2001年8月に第1回目の試作・試食を行った。
塩さばの塩の抜き方や酢で何分しめるかなど10通りの方法を行い、パートの女性も含めて10人で試食会をした。10人の結論は一致しなかった。やはり10人いれば、10人の舌があり感覚が異なることを痛感した。

1つの結論を出さないと前に進まないので、平均点が高く、若い女性が高く評価しているものを優先して、さばの仕込みの方法を決定した。

お米は、寿司で使っている“あさひ米”と、ご飯として提供する“こしひかり”のどちらを使うかで検討した。また、棒寿司にするのにシャリのまとまりが良く、もちもち感を出すためにもち米を混ぜることにした。“あさひ米”は硬質米で寿司にするとお米が口の中でぱらっとほぐれるため、寿司飯として人気が高い。“こしひかり”はシャリとしてはベトっとしているので向いていない。同じように4通りの試食を行い、“あさひ米”ともち米を使ってシャリを炊く事に決まった。

寿司酢は、酢と砂糖と塩の配合割合で味が決まるが、現在お店で使っている寿司酢の割合より砂糖を少し多めにするということで決定した。

昆布はバッテラに使っているテラ昆布か、厚手の北海道日高産の龍皮昆布のどちらにするか検討した結果、旨みが多い龍皮昆布を甘酢に漬けて柔らかくして使うことに決まった。

1ヶ月間、計8回の試食会を行い、さば寿司の3大原材料の選定と仕込み方法が決まった。4日に1度の試食会でスタッフは皆、さば寿司に飽きていた。